蔵下英喜先生インタビュー

 

親戚でもあり、空手の師匠でもある蔵下英喜先生にインタビューを行いました。

親戚として会う時は家族のことや仕事のことなど世間話しを、空手の稽古の時には型やその技などについてお話しをすることはありましたが、このように英喜先生の空手歴について詳しくお伺いするのは初めてだったので、とてもいい経験になりました。

世界的な先生からの貴重なお話しをいただけたことは、これからの僕の空手人生の宝となりました。
インタビューを快く引き受けてくださり、貴重なお時間をいただきました先生ご夫妻に感謝です!



2023年9月4日(月)13:30
英喜先生ご自宅にて

前田:空手を始めたきっかけを教えていただけますか?
英喜先生:体が小さく、強くなりたいという憧れがありました。
高校生になり、伊江島から出て近くにあった尚道館に通いました。
奥様:風邪などで学校もよく休んでいましたよ。

前田:出身地である伊江島で昭和39年(1969年)に尚武館を開設、その時から米軍など外国人にも教え、また仕事で本島に移ってからは尚道館での稽古を重ね、2002年2月24日 浦添市牧港に英喜館開設をされましたが、空手をやっていて良かったと思うことは何かありますか?
英喜先生:健康維持に役立ち、精神的にも落ち着くことができました。生涯続けられるものだと思いました。中学生の時は146㎝前後でしたが、高校で163㎝くらいまで伸びました。
前田:僕が子供の時の英喜おじさんのイメージからは、肩もがっしりしていてとても小さかったとか弱かったとは思えないです。
奥様:これが空手を始めた頃の写真。(と写真を持ってきてくださいました。白帯の若かりし英喜先生を初めて見ましたがとても貴重な写真を見せていただき感謝です!)
※僕は生まれも育ちも本島ですがルーツは伊江島、親戚もほとんどが伊江島在住で子供の頃は休みの度に伊江島で過ごし、心は「伊江島人」です!

前田:好きな型を教えてください。
英喜先生:十八手(セーパイ)です。護身術にも向いている型で、また空手の全ての型は受けから始まりますが、このセーパイも受けから始まり、自分からは攻撃しないという空手の精神が表れていて、とても好きな型です。

前田:空手から教わったことは何ですか?
英喜先生:イジヌイジレーバティーヒキ(意地が出たら手を引け)
空手は受け身であり、攻撃するものではない。護身術として学ぶものであり、戦いを目的とするものではない。また、忍耐と発言のタイミングの大切さ、正しい道を歩む、そのためにも心身を鍛えていくということです。
前田:ティ(手)の技だけではなく、忍耐や発言のタイミングなど生き方も含めて武才(武道の才能)であり、それを空手は教えてくれますね。
※大切な言葉、思慮深い言葉を沖縄の方言で「クガニクトゥバ:黄金言葉」と言います。このイジヌイジレーバティーヒキはまさしく空手の神髄でもあり、クガニクトゥバだと思います。

前田:比嘉世幸先生と世吉先生との思い出は何かありますか?
英喜先生:骨太で、たくましかった。また、人柄がよく、謙虚で人間としても魅力を感じました。
空手に関する考え方も、空手の普及のためにも尽力されたその姿を見て自分もがんばらなくては、と感じました。
前田:まさしく世幸先生、世吉先生の空手普及の精神を受け継ぎ、英喜先生も海外でたくさん指導され、多くの海外からの門下生を持つようになりましたね。どの国で指導されましたか?
英喜先生:ロシア、フランス、アメリカ、カナダ、スロバキア、アルゼンチン、ウルグアイ、チェコ、ドイツです。
前田:9か国も!!
奥様:SARSが流行っている頃に海外に指導のため行くこともあって、心配がなかったと言えばウソになりますが、でも空手普及のために頑張っているので、信じて送り出しました。何の問題もなく無事に帰ってきて感謝でした。
(フランス、スロバキアなど指導に行った際の思い出の写真を見せてくださいました。とてもいきいきとしている様子の写真を見れて嬉しかったです)
前田:世界がSARSの脅威にさらされている時も、空手普及のためにご尽力されたんですね。私たちの連盟の世界的発展にもその貢献は非常に大きかったと思います。

前田:比嘉世吉先生がお亡くなりになり、我が連盟の5代目会長として就任されましたがいかがでしたか?
英喜先生:会長として不十分だったと反省することがあります。しかし、比嘉世幸先生三十三回忌、比嘉世吉先生三回忌追悼演舞大会を無事に行うことが出来たのは本当に良かったです。
空手の素晴らしさは、身を守り、決して先手を出さない。そしてその通りの人生を歩みたいと思いました。また今日の沖縄の伝統空手の世界的普及を目の当たりにした時に感動しました。そして改めて沖縄の伝統空手の素晴らしさを体感しました。
前田:我が連盟も世界中に支部がありますが、これも英喜先生の貢献は非常に大きかったですね。だからこそ、十段授与があったと思います。

前田:それでは最後に世界中の空手家へのメッセージをお願いします。
英喜先生:心身を鍛え、先手を出さない、そういう基本を大切に学ぶことが大切だと思います。また空手は健康も維持できますので、一人でも多くの方にこの沖縄の伝統空手の素晴らしさと出会って欲しいです。
前田:本日は貴重なお時間を頂きまして、本当にありがとうございました。
英喜先生:これからも頑張ってください。
奥様:英喜館を引き継いでくれて本当にありがとう。おかげで安心して引退することができました。

僕は空手家としても、人間としてもまだまだ未熟者ですのでぜひ英喜先生ご夫妻(英喜おじさん、正子おばさん)にはこれからもご指導をいただきたいと改めて思いました。
空手の修行に終わり無し。これからも謙虚に修行してまいります。

ちなみにですが、、、今年(2023年)8月は英喜先生ご夫妻の結婚60周年、僕たち夫婦は12月に結婚20周年。
「12月に合わせて80周年お祝いのお食事に行こうね~」と奥様。
今から12月が楽しみです!!

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